本田巌氏 上梓

 
 
 

第八回尾崎放哉賞

   
 
  優秀賞
 「背中の淋しさを見られながらおいとまする」  久光良一
 
  入賞
 「記憶の濃淡の中を春の小川」           楠本尚子
 
 「小石を放ったら時を刻み始める湖」       重富蒼子
 

第六回口語俳句大会

 
 
 

令和5年度新墾総会

さる7/30(日)北九州市にて新墾総会が開かれました。令和4年度の会計報告に続き、今年度の諸行事及び大会入賞の報告がありました。
その後研修として重富蒼子が「昨今の新墾集の名句を分析する」と題して講演を行いました。昼食懇親会のあと、記念句会が開かれ、入賞者には表彰を行いました。
   [入賞作品]
一席 あなたの背中が私の非常口                重富蒼子
二席 退屈の果てにある真昼のところてん            二宮 聡
三席 ワンカップにさしたつゆ草そこだけが明るい       丹村敦子
三席 もう泳げない足元に夏の波                 楠本尚子
「徳永賞」 画鋲穴いくつもあって生活の穴            黒瀬文子
「蒼子賞」 恋歴はありません三色すみれに棲んでいます  田數江
   [当日の主な句]
     生きている!胸まっぷたつの秋                   徳永純二
    振り向くことばかり そしらぬ顔の風                重富佐代子
    嘘をつくおまえがかわいい観音参り                瀬崎峰永
    梅雨日クチナシの花とながばなし                  古川由紀子
    胸の扉を開く雨の一日                        井上知子
    レコード盤が昭和の扉開ける                    重冨美江子
    アルバムを開けば心は旅人                     原口節子
    母の日です 新種のカーネーション届く               中村みや子
    何があった生きたふりして死んでいる虫              高木架京
    形見の帽子捨てきれず暮らしつつ                 竹本照子
    梅雨の空カマキリ一ぴき雨やどり                  増田眞寿子
 
 

「放哉賞」

         入選
 
       包丁の音垂直に朝の林檎切る          久光良一
 
      朝食後には必ず林檎を四分の一だけ食べるのが私の習慣ですが、一人暮らしな
      ので自分で林檎を切っています。新鮮な林檎を切るときの、包丁のサクッという音が
      ゆるんだ朝の気持ちを引きしめてくれるような気がして、少し心が弾みます。
 
 
    地球の子で良かったのか星月夜         徳永純二
 
      ぼくには、二つの「星月夜」がある。一つは、高校時代に登った九州・久住高原
      の、満天から降り注ぐ星の光に包まれた高揚感。もう一つは、ゴッホの代表作「星月
      夜」。黒く聳える糸杉を取り巻く、巨大な三日月と星々の輝き。
       一三八億年前、何もない「無」から生まれた宇宙の、小さな星地球に棲むぼくたち
      は、今、輝く星の高揚が欲しい。
      
 
    

「山頭火ふるさと館自由律俳句大会」

         入選
 
    四人掛けのテーブルにひとり座る         中川 洋
 
       まだ若いころ、家族四人がそろう場所がテーブルでした。厳格な父親のせいか
      家族の会話は当たり障りのないものでした。父は定年を迎えると、母と故郷に戻り
      長男も大阪に転勤となり、私はしばらくその家で一人で暮していました。当初は気楽
      な暮らしが始まると喜んでいましたが、ひとり座るテーブルは、ただ寂しいだけのも
      のでした。
 
      
    言葉を釣り上げる インク壺は深海        重富 蒼子
        
         インク壺の中には幾多の言葉が潜んでいます。それはまるで深海のように・・・。
       糸を垂れても、何日も、何十日も釣れない日が続きますが、時に見たこともないよ
       うな言葉(表現)に出会う日があります。それが作句の苦しみでもあり、楽しみでも
       あります。
 
 

「口語俳句大賞」

 
 
 
 
「口語俳句大賞」は、年間二十句の作品賞です。おめでとうございます。
 
 
 
 三年ぶりに「総会及び忘年句会」が開催されました。コロナ等の影響もあり例年より少ない参加者でしたが、名古屋から田數江さん、埼玉から中川洋さんの参加もあり、久しぶりの再会に会は大いに盛り上がりました。
総会は小川洋子新代表の挨拶に始まり、活動報告、会計報告・監査報告が行われました。
その後忘年句会となり、和やかな中にも真剣な意見が交わされました。
楽しく食事を終えた後、またの再会を約束して散会となりました。
なお句会の高点句は次の通りです。
 
  一席  納得したけれど楕円形のまま          吉永 明子
  二席  手巻きの毛糸 秋の光がまるまった      高木 架京
  三席  いくつもの物語つなぎながら終活        重富佐代子   
  三席  一駅の旅に出る 昼下がり            井上 知子 
  三席  夜なべして魂を繕っている            重富 蒼子
  六席  枯れたかまきりのそれでもまだ生きる構え  久光 良一
  六席  風がやさしい明日のページに大根蒔く     楠本 尚子
  六席  心に決めた日カーテン一気に開ける      重富美江子
  六席  飛べない秋 寒さ転がってくる          小川洋子
 
 
 
 
 
 
 
 
 
延び延びになっていた諸々の会合を含めて、下記の通り「総会及び忘年句会」を開催致します。
              「総会及び忘年句会」
日時  令和4年11月27日(日) 11:00~15:00
場所  北九州市八幡東区西本町1-1-1
        「千草ホテル」093-671-1131
投句  2句  11月12日(土)まで    提出先:小川洋子
        (投句をもって出席とします)
会費  ¥4000(当日徴収します)
 
 
 
 
「第五回 尾崎放哉賞」に次の同人、高校生が入賞しました。新墾大活躍です!
 
   優秀賞        レモンどこまでころがる冬陽の片隅           重富佐代子
                    年ごとの色を重ね私の海が凪ぐ                 丹村敦子
   
   入賞           仲間の居る方へ駆けだす落ち葉                 黒瀬文子
                    星座になれぬ星も輝いて夜空できあがる      久光良一
                    曲線だけでできている笑っている女           重富蒼子
 
   高校生の部 優秀賞    
                    逃げ出したくて 真夜中の月に相談する       岩下空依果
                
   
 
 
 
  「第四回山頭火ふるさと館自由律俳句大会」に、重富蒼子の次の二句が入選しました。 
 
                       虹のように鮮やかに騙して欲しい 
              
                       もうどこへも連れてってくれない回転木馬
 
 
 「第四回口語俳句作品大賞」で、久光良一先生の「残された影」が奨励賞(20句)を受賞されました。ここでは冒頭の三句をご紹介します。
 
           コインランドリーが朝を黙々とまわしている
           黙秘権を主張している卵を割る
           これがわたしのすべてという十二桁の空疎
 
 
 「第三十二回伊藤園おーいお茶新俳句大賞」の佳作に、重富蒼子の次の句が入選しました。応募総数は205万7963句だそうです。
 
                    ズボン下という敗北を履く
 
 
 
 
「第三回口語俳句作品大賞」に、黒瀬文子さんの「風の足跡」(20句)が入選されました。ここでは冒頭の三句をご紹介します。
 
                     お先にどうぞ追い越されることに慣れている
                     一番もビリも解らず蟻の行列
                     逃避行か夕日色のバッタ飛ぶ